AI 翻訳 副業は「下訳を使って品質を整える仕事」
機械翻訳の結果を人が確認して直す作業を「ポストエディット」と呼びます。例えば海外商品の説明文を日本語にする場合、AIの訳文を読みやすく整えるだけでなく、サイズ、使い方、禁止事項が原文と一致しているかを確かめます。納品するのは、AIが出した文章ではなく、依頼された用途で使える訳文です。
| 仕事の種類 | 具体的な作業 | 受注前の確認 |
|---|---|---|
| 商品説明の翻訳・修正 | 素材、数量、寸法、注意書きを照合する | 商品名と単位の表記ルール |
| 社内資料の下訳 | 内容を把握できる訳文に整える | 外部AIへの入力許可と求める精度 |
| Webサイトの翻訳修正 | 見出しやボタンを利用者に自然な表現にする | 文字数制限と画面上の確認範囲 |
最初は、自分が原文を読んで正誤を判断できる言語と分野に絞りましょう。知らない単語を辞書で調べることはできますが、原文の否定や条件を読み取れない状態では、AIの誤訳にも気づけません。資格の有無だけで判断せず、短い文章を自力で説明できるかで確かめます。
医療、法務、金融など、誤訳が健康や契約判断に影響する仕事は、未経験者の練習案件には向きません。また、募集が「翻訳」であっても機械翻訳が許可されているとは限りません。AI利用が不明な場合は、使用するサービスと作業範囲を契約前に確認してください。
報酬は相場の断定より「条件と工数」で見る
公開例として、ランサーズには、日本語資料を機械翻訳で英語にする約3,300文字の依頼がありました。提示予算は5,000〜10,000円ですが、結果欄の実際の支払い金額は20,000〜30,000円です。2025年8月28日に募集が終了した案件で、現在応募できる仕事でも、初心者の標準単価でもありません。募集予算と最終支払額が異なる例として参考にしてください。出典:ランサーズの機械翻訳案件
この案件は、厳密さより意味の把握とスピードを重視する内容でした。公開用の広告文や契約書には、そのまま当てはめられません。翻訳の料金は、言語の組み合わせ、原文の難しさ、修正範囲、ファイル形式、納期で変わるため、単一の数字を「AI翻訳の相場」として扱わないことが大切です。
見積もりの計算例
以下は市場相場ではなく、採算を確認するための仮の目安です。英語原文500語の修正を3,000円で受けるとして、用語調査30分、原文との照合60分、最終確認30分、連絡30分なら、合計2.5時間。手数料・経費を引く前の時間当たり売上は1,200円です。修正が増えて5時間かかれば600円になります。
- 「1語」は英語の単語数か、「1文字」は日本語の文字数かを決める。
- 原文と訳文のどちらを数えるのか、表・脚注・画像内の文字も含むのかを確認する。
- 手取りの試算では、契約するサービスの手数料、ツール代、振込にかかる費用も差し引く。
- 原文の追加や依頼内容の変更は、追加料金と納期を相談する条件を付ける。
「1回の修正」が全文の再翻訳になると採算が崩れます。初回は短い原文を見せてもらい、修正量を確かめてから見積もりましょう。
DeepLを選ぶ前に入力してよい情報を確認する
下訳用のDeepLと、原文・訳文を並べる表計算ソフト、辞書があれば練習を始められます。DeepLの公式料金ページでは、無料版と有料プランで翻訳文字数、ファイル翻訳、用語集などの上限が異なります。料金は地域や年払い・月払いによって変わるため、購入画面で日本向け価格と契約期間を確認してください。出典:DeepL公式プラン比較
特に重要なのはデータの扱いです。DeepLの個人情報保護方針では、無料サービスの入力文や訳文などを、訓練や性能向上のため一定期間保存すると説明しています。また、無料版で個人データを含むテキストを翻訳することは認められていません。顧客名簿、履歴書、非公開の取引資料を練習用に入れないでください。出典:DeepL個人情報保護方針・第3節
同方針の第4節には、Proで送信した文章をサービス改善に使わないことや、処理に伴う保存・削除の条件が示されています。ただし、有料版に入れば顧客資料を自由に送信できるわけではありません。契約条件、個人データの取り扱い、依頼主の承諾を別々に確認します。承諾がない資料は、氏名だけを隠して自己判断で入力せず、指定された作業環境を使いましょう。
今日の練習には、自作の架空の商品説明を使うと扱いやすくなります。架空であることをサンプルに明記し、実在企業の商品や顧客情報を使わずに作業手順を試せます。
原文との照合から納品までの5ステップ
- 用途を決める:社内の内容把握用か、一般公開する文章かを聞きます。対象読者、語調、翻訳しない商品名も確認します。
- 用語集を作る:表に「原語・採用する訳・補足」を並べます。例えばサービス画面のaccountを「アカウント」に統一し、文章ごとに別の訳へ変わるのを防ぎます。
- 許可されたツールで下訳する:見出しや段落に番号を付け、原文と訳文が対応する形で保存します。段落を飛ばしたまま作業を進めないためです。
- 原文と一文ずつ照合する:意味を確認してから、日本語として自然に整えます。分からない内容は推測で補わず、質問一覧へ分けます。
- 指定形式で最終確認する:Wordや表計算ファイルなどで開き直し、表の崩れ、改行、見出し、コメントの残りを確認して納品します。
読みやすさより先にチェックする項目
例えば「Do not store above 30°C.」なら、否定と上限温度を保ち、「30℃を超える場所で保管しないでください」などと訳します。「30℃以上」と「30℃を超える」では境界の扱いが異なります。流暢な訳でも条件が変われば不適切です。
- 数字、通貨、日付、単位、小数点が原文と一致しているか。
- 「しない」「場合のみ」「少なくとも」などの否定・条件が落ちていないか。
- 表の注記、脚注、箇条書きに訳抜けがないか。
- 同じ用語を統一し、原文にない効能や保証を追加していないか。
逆方向に再翻訳して意味を見る方法は補助にはなりますが、それだけで品質を保証できません。最後は原文との照合と、必要に応じた依頼主への質問で確認します。
案件検索と提案では「できる範囲」を具体化する
ランサーズやクラウドワークスでは、「機械翻訳 修正」「ポストエディット」「翻訳 校正」に言語名や得意分野を組み合わせて探します。終了済みの募集は条件研究に使い、応募する際は受付状況と最新の依頼本文を読み直してください。AI利用不可、専門経験必須、作業量不明の案件を、単価だけで選ばないようにします。
サンプルは、目安として原文200〜300語程度の短文1本からで十分です。「原文・AIの下訳・自分の修正版・修正理由」を並べると、翻訳結果だけを出すより判断力が伝わります。自作資料を使い、架空の受注実績や顧客の評価を付け加えないでください。
提案文は、例えば「商品説明の英日修正に対応します。原文と訳文を照合し、数量・単位・用語の統一を確認します。外部AIは許可された場合のみ使用します。原文の分量と納品形式を確認後、金額・納期をご提示します」と書けます。実際に対応できる内容へ直し、サンプルを添えましょう。
契約時には、納品形式、確認期限、修正範囲、外部ツールへの入力可否を文章で残します。仮払い方式の案件なら、入金を確認してから着手します。テストとして長い原稿を無償で求められた場合は、分量と利用目的を確認し、短い試訳や有償テストを相談してください。
今日からは短いサンプル1本と作業記録を作る
最初の目標は高額な月収ではなく、「自分がどこまで責任を持って直せるか」を確かめることです。今日は自作の短文で1本仕上げ、調査・修正・確認にかかった時間を記録しましょう。所要時間は人によって違うため、他人の作業速度をそのまま見積もりに使わないでください。
- 得意な言語と分野を1つ決め、公開可能な練習原稿を用意する。
- DeepLで下訳し、原文と照合して、修正理由を3件以上書き出す。
- 案件を3件読むことを目安に、分量・AI可否・納期・料金条件を比較する。
- 対応可能な募集があれば、サンプルと実測時間を基に提案する。
この件数は行動計画の目安で、受注や収入を保証するものではありません。難しい原文は断る、確認できない箇所は質問する、機密情報は許可なく送らない。この基本を守りながら、納品の経験と自分の作業記録を積み上げていきましょう。