ai 副業 公務員はできる?国家・地方の制度を分けて確認
最初に確かめたいのは、自分に適用される制度です。一般職の国家公務員と地方公務員では、根拠となる制度や判断する組織が異なります。民間企業の副業解禁のニュースや、別の自治体で認められた事例を、そのまま自分にも当てはめないでください。
| 区分 | 確認する内容 | 最初の相談先 |
|---|---|---|
| 国家公務員 | 自営兼業か、報酬を得る別の兼業か。必要な承認・許可の種類と条件 | 所属府省の人事・服務担当 |
| 地方公務員 | 地方公務員法第38条と、所属自治体の兼業許可基準・手続き | 所属自治体の人事・服務担当 |
| 特殊な身分・任用形態 | 職種や任用形態に応じた特例、個別の服務規程 | 自分の任用を管理する担当部署 |
人事院は、国家公務員の自営兼業について、知識・技能を活用する事業と社会貢献につながる事業を新たに承認可能とし、2026年4月1日に施行しました。制度変更の原文は人事院「自営兼業制度の見直しについて」で確認できます。AIを使った制作が対象となり得るかは、実際の事業内容と承認基準で判断されます。
地方公務員について、総務省の2025年6月11日通知は、営利企業の役員等になること、自営の事業を行うこと、報酬を得て事業・事務に従事することを許可対象として整理しています。総務省の兼業許可に関する通知も参照しつつ、自分の自治体の基準を確認しましょう。「ネットで少額を稼ぐだけだから許可は不要」と自己判断しないことが出発点です。
2026年の自営兼業見直しは「自由化」ではなく承認対象の拡大
国家公務員の制度見直しで重要なのは、対象事業が広がっても、承認の条件が残っていることです。人事院の見直し概要では、職務への支障、官職との利害関係、公務の公正性・信頼性などを確認するとしています。新たな対象事業については開業届を提出し、事業計画書等を作成して行うことも基準に含まれます。
- 本業に支障がないか:勤務時間中の制作や顧客対応をせず、睡眠や急な業務に対応できる余裕を残す。
- 職務上の利害関係がないか:許認可、補助金、調達など、自分の担当業務と相手の関係を確認する。
- 公務への信頼を損なわないか:公的な立場を営業に使わず、所属先が推奨するサービスだと誤解させない。
たとえば、趣味の園芸知識を基に一般向け記事を作る計画と、担当する補助金の申請者向けに有償で資料を作る計画では、同じAI文章作成でも確認すべき利害関係が違います。これは判断を整理するための例であり、前者が必ず承認されるという意味ではありません。
また、ネットで案件を受ける業務委託がどの兼業区分に当たるかも、契約や実態によって確認が必要です。人事院の承認基準を地方公務員へ一律に適用したり、開業届だけで所属先の許可に代えたりはできません。開業届の提出と兼業申請の順序も、人事担当に相談してから進めましょう。
許可相談に使える事業計画を1枚にまとめる
相談するときは「AI副業をしたい」だけでなく、何を、誰に、どの時間帯に提供するのかを示すと説明しやすくなります。まずA4用紙1枚程度を目安に計画を整理し、所属先の指定様式があればそちらへ転記してください。用紙の枚数はこの記事の準備目安であり、全国共通の申請要件ではありません。
- 事業の目的と成果物:例として「公開情報を基にした園芸記事の作成」。AIは構成案に使い、事実確認と最終編集は自分で行うと説明する。
- 取引相手と営業方法:想定する顧客、ココナラ等の利用予定、自分の官職と取引相手の利害関係の確認方法を書く。
- 営業日・時間:例として「土曜日に2時間」。問い合わせや修正対応も含めた時間を記載する。
- 予定収入・経費:月の受注件数、単価、サイト手数料、ツール代の仮定を明示する。
- 情報管理と本業への配慮:私物端末で行い、業務資料・住民情報・職場のアカウントを使わない方針を示す。
数字は希望額だけでなく、根拠を添えます。たとえば「月2件、1件5,000円で売上1万円を想定」と書くなら、それは事業計画上の仮定で、実績や市場相場ではないと区別します。顧客との往復連絡や修正に何時間かかるかも、練習で計っておきましょう。
人事担当には、必要な申請書、承認前にできる準備の範囲、条件変更時の再申請・報告、収入実績の提出の要否を確認します。許可される前に応募・出品・契約・有償作業へ進まず、審査に必要な見積もり等をどう集めるかも相談してください。
最初は公開情報でAI文章作成を練習し、機密情報を守る
初心者は、いきなり複数の仕事を試すより、説明文や記事の構成づくりなど、確認しやすい成果物を1つ選ぶと練習しやすくなります。Geminiのような対話型AIは、指示を文章で伝えて構成案を得る用途に使えます。ただし、使える機能や利用条件は契約・設定によって確認が必要です。
練習には、自分が書いたメモや公開済みの情報だけを使います。たとえば「初心者向けの家庭菜園記事の構成を5項目提案。根拠が必要な箇所は要確認と示す」と指示し、返答を編集してください。ここでいう5項目は練習用の指定で、記事の正しさを保証するものではありません。
- 入力しない情報:住民・事業者の個人情報、未公表資料、職務で得た相談内容、内部メールや会議記録。
- 自分で確認する情報:法律、料金、制度の日付、固有名詞、リンク先。AIが示した出典が実在するかも開いて確かめる。
- 納品前に整えること:他人の文章の流用を避け、読み手に合う表現に直し、AI利用に関する顧客の条件を守る。
GoogleはGeminiアプリのプライバシー案内で、データの一部が人間のレビュー対象になり得ることや、誤情報が生成される可能性を説明しています。設定の変更だけに頼らず、公務で扱う情報を副業用AIへ入力しない運用にしましょう。名前を削っても、案件の日時や地域などから相手が推測できる資料は使わないことが大切です。
承認後の案件探しは、価格より仕事内容と手残りを確認
必要な承認・許可を得たら、その条件内でココナラ、クラウドワークス、ランサーズなどのサービスを確認します。「記事作成」「文章校正」「商品説明文」など、成果物が分かる言葉で探し、AI利用の可否、文字数、納期、修正範囲を読みましょう。これらのサービスを使うこと自体が公務員の兼業許可を意味するわけではありません。
最初の提案では、自主制作と明記したサンプル、AIを使う工程、人が確認する工程、納期を説明します。公務員の肩書きを実績の代わりにせず、公開できない業務経験や内部資料を営業用サンプルに使わないでください。申請時と違う取引先や作業範囲になる場合は、受ける前に所属先へ確認します。
| 確認項目 | 契約前に明確にすること |
|---|---|
| 成果物 | 記事1本なのか、構成案だけなのか。画像や入稿作業を含むか |
| AI利用 | 使用可能なツール、入力可能な資料、利用の申告方法 |
| 修正・納期 | 修正回数と範囲、対応できる曜日、追加料金の条件 |
| 報酬・支払い | 税や手数料を含む金額、支払い時期、仮払い等の仕組み |
公務員のAI副業だけを切り出した信頼できる報酬相場は、本記事の調査では確認できていません。ここでは相場を断定せず、収支の計算例を示します。ココナラの通常サービスの販売手数料は公式ヘルプで税込22%と案内されています。ビデオチャットは料率が異なるため、区別が必要です。
仮に通常サービスを1件5,000円で販売すると、販売手数料1,100円を差し引いた売上金は3,900円です。調査・連絡・修正を含め3時間かかった場合は、1時間当たり1,300円相当となります。これは価格と時間を仮定した計算例であり、相場・利益・収入保証ではありません。別途ツール代、振込手数料、税負担等を考え、修正が増えたときの採算も確認しましょう。
今日からできる準備と、受注後に続ける記録
今日の到達点は、受注ではなく、所属先に具体的に相談できる状態を作ることです。30〜60分を準備時間の目安に、次の順番で進めてください。承認が出るまでの日数は所属先や案件によるため、独自の期限を決めて先に営業しないようにします。
- 所属先の兼業規程を確認し、人事・服務担当の相談窓口を調べる。
- 自分の趣味・知識から提供したい作業を1つ選び、事業計画の5項目をメモする。
- 公開情報だけで練習用サンプルを作り、作業時間と確認した出典を記録する。
- 申請手順と準備できる範囲を相談し、必要な承認・許可を得てから営業へ進む。
開始後は、受注日、相手、作業内容、作業時間、売上、手数料、経費を表計算ソフト等で記録します。許可条件に沿っているかを見返せるだけでなく、税務手続きに必要な資料も整理しやすくなります。税の申告と兼業の承認は別の手続きなので、納税すれば無許可の仕事が認められると考えないでください。
本業が忙しくなったら新規受注を控え、納期や活動量を調整します。「毎日投稿」「大量生成」を優先するより、説明できる事業内容、守れる時間、確認できる品質をそろえることが、公務員としてAI副業を検討する最初の一歩です。